Interview

モノづくりの未来を変える。
新しい社会システムを
創り出したい。

プロジェクトマネージャーとして大きな役割を担う林智佳子。
研究者や事業者と一緒に考え、行動する。自らが先頭に立って、
循環型の社会システムを創り出していく

林 智佳子

HAYASHI Chikako

材料・ナノテクノロジー部 主査
2008年入構
理工学研究科 応用生物科学専攻

2008 バイオテクノロジー・医療技術開発部に配属。
2011 総務部企画部へ異動。
2014 経済産業省へ出向。
2016 材料・ナノテクノロジー部にて、「スマートセル」のプロジェクトマネージャーに就任。

学生時代は、疾患に関連するタンパク質の研究に取り組んだ。「技術開発マネジメント」とはどういうものだろうと興味を持ったことをきっかけに、NEDOに入構。研究を通じ培った「答えの無いところから試行錯誤を繰り返して解を導く」という経験が今活きている。

産業に変革をもたらすプロジェクトの推進役に

地球上の生物の体内には未知の機能が隠されています。植物や微生物が持つ物質を生産する機能を使って工業製品などの原料として活用できる有効成分を取り出すために、人工的に機能をデザイン・制御した細胞をスマートセルと呼んでいます。このスマートセルを活用した新しいモノづくり、すなわち「スマートセル・インダストリー」は、次世代の産業に変革をもたらす新技術として大きな可能性を秘めています。
NEDOでは工業分野での実用化を目指し、2016年に新規プロジェクトを発足しました。私はそのプロジェクトマネージャーとして大学や研究機関、企業などのべ80を超える機関をまとめ、事業化に向けて取り組んでいます。

交渉、打ち合わせの中で、
目指すべき方向へと導いていく

プロジェクトには少なくとも300人以上の人たちが参加しており、なるべく皆さんに自由に議論していただきながら、プロジェクトを成功に導くにはどうしたら良いかを考えています。私はまだ力不足ですが、同じグループには経験豊富なメンバーが多いので、アドバイスをもらいながら進めています。また、NEDOにはプロジェクトマネージャーとして必要なスキルを育成する研修もあり、自分を高める良い機会になっています。
時には、技術開発の方向性を決める国の会議に有識者として出席することもあります。NEDOは日頃、企業の方々とやり取りをすることが多いので、国が目指すべきことと企業が進めたいことの双方の視点を持って考えられる立場にあると思います。このような会議で戦略が決まると一気に開発が進むこともあるので楽しみです。

プレッシャーの乗り越え方も、
仕事から学んだ

プロジェクトマネージャーを任された時は、正直、私に務まるのかという思いもありました。周囲のメンバーに助けられながら、また先輩方のアドバイスに耳を傾けながら手探りで進んでいる最中でもあります。責任の重みをひしひしと感じる日もありますが、「プレッシャーも自分の力に変えていく」のが私のモットー。プレッシャーに強くなったのは、新人の時にプロジェクトで鍛えられたからかもしれません。当時の上司は「仕事は実践ありき」で、新人ながらさまざまな仕事にトライさせていただきました。必死に追いつきながら学んだのは、人の話を聞き、自分で考えることの大切さ。そして、わからないことは恥ずかしくても聞き、言うべきことは勇気を出して言う。そうやって仕事に取り組んでいけば、どんな問題も乗り越えられることを学びました。ここで触れられるのは最先端のテクノロジーから、人生のイロハまで幅広く、NEDOで働いていることで、私の世界は大きく広がっています。

ミライのトビラ

スマートセル技術で豊かな循環型社会を実現

現在、開発を進めているスマートセル関連技術は、石油原料の化学工業プロセスをバイオプロセスに変えるもの。自然界で生分解されるバイオプラスチックなどのバイオ由来製品が身近なものになります。また、天然植物からのみ取れる物質をスマートセルで短時間に生産できるようになれば枯渇資源フリー化も。実用化が進めば、地球が直面している環境・資源の問題解決に貢献するはずです。私の夢でもある「豊かな循環型社会の実現」を可能にするプロジェクトです。…と思うと、とてもわくわくします。