Interview

想像を超えた
未来の実現へ。
技術への好奇心を
原動力に。

新しい技術に胸を躍らせる間瀬智志。
若きプロジェクトマネージャーとして、未来を思い描きながら、技術の新たな可能性を引き出す。

間瀬 智志

MASE Satoshi

電子・材料・ナノテクノロジー部
2007年入構
農学研究科 応用生物科学専攻

学生時代は有機化合物の合成に関する研究を行う。愛知万博でNEDOと出会い、新しい技術に触れあえると感じたことが入構のきっかけ。

休日は、大好きなスープカレーの食べ歩きや自作をするのが楽しみ。

パワエレ事業のプロジェクトマネージャーとして

パワーエレクトロニクス(パワエレ)とは、電気をより効率的に使いやすい形にする技術です。直流と交流の変換が一例で、電気を使用するあらゆる場所に関わるため、現代社会においては欠かせません。私が取り組んでいるプロジェクトは、現在広く使われているシリコンに替わり、より省エネ化が可能となるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒素ガリウム)といった次世代材料を適用していくための技術開発が代表的なものです。NEDOが実用化した機器が東海道新幹線の新型車両に採用されるなど、省エネ社会の形成に向けて私たちの取り組みへの期待も高まっています。
私はプロジェクトマネージャーとしてパワエレ関係の2つのプロジェクトを担当し、日々チームの人たちと議論したり、悩んだりしています。チーム員は企業出向の年上職員しかいない中、私がマネージャーをしているという異色のチーム構成ですが、年下の強み(?)を活かして、チームの皆さんに強力に支えられながら日々過ごしています。チームのメンバーは個性があり、得意な領域も違うので、普段からコミュニケーションを取って状況を把握し、適切に仕事を割り振ることが私の役割の肝の一つと思っています。

新しい技術に最前線で
触れられる楽しさ

ノーベル物理学賞を2014年に受賞した天野浩先生(名古屋大学大学院工学研究科教授)は、私が担当するプロジェクトの実施者の一人でもあります。打ち合わせやメールをやりとりする関係は受賞前から現在も変わらないのですが、受賞を受けて、私たちが一流の研究者と仕事をしていることを改めて自覚しました。天野先生には2014年の「NEDOパワーエレクトロニクスシンポジウム」で講演していただき、メディアの注目を集めることができましたが、今後ももっとパワエレの分野を盛り上げていくべく、色々と仕掛けていきたいと考えています。
また、10年前の愛知万博で、NEDOのパビリオンに入った時のワクワク感を、私は今でも覚えています。NEDOパビリオンは、新エネルギーや省エネルギーもあれば、ロボットもいて、まるで『ドラえもん』の秘密道具溢れる未来のイメージでした。こんな面白そうな組織があるんだと感動しました。NEDOで働いている今でも、新しい技術の話に最前線で触れられることを楽しく感じています。技術開発で世の中を良くするのに貢献していくのが大前提ですが、その中でワクワクするような未来の秘密道具を作る、という夢も持ち続けたいですね。

経済産業省への出向で見識が広がった

環境部の1年目は、部の総括という立場で社会人としての基礎を学びました。学生時代は研究中心の生活で、書類の作り方も満足に知らなかったので、総括の種々の業務を通じて、現在の仕事に必要なものを身につけました。2年目以降は様々なプロジェクトを担当しましたが、印象に残っているのは、光を当てると有機物を分解する「光触媒」という物質の実証実験を空港などで行ったことです。開発した技術が実環境で使われることを目の当たりにして、自分たちが社会や生活に近いところで仕事をしているという面白味を感じました。
4年目には行政事務研修員として経済産業省に出向しました。そこでは、NEDOプロジェクト含め、経済産業省の研究開発事業の予算調整を行う仕事を担当しました。どういった技術にどのぐらいの予算が配分されるかを広く見ることができたので、技術と予算の関係性の肌感覚を身につけられたのではないかと思います。それはNEDOに戻った現在、どういった予算要求をするのが適切かということを考えるのに生かされています。
また、NEDOの外の世界を経験することで、自分自身の見識も広げることができました。経済産業省は研究開発だけでなく、法律や規制、導入補助なども所管しています。それまでの私は研究開発を中心に物事を考えていたのですが、テーマによっては研究開発よりも法律を改正した方が良い場合もあります。課題を解決する選択肢がたくさんあって、その中で最適な方法が研究開発だというものに、私たちは注力していくべきと考えます。そのように全体を俯瞰(ふかん)する視点を得ることができたのは、良い経験になりました。

ミライのトビラ

新千歳空港での実証プロジェクト

環境部の当時、光触媒でウイルスを不活性化する技術の実証実験を新千歳空港で行いました。NEDOのロゴの入った空気清浄機は出発ロビーなどに設置され、プロジェクトの終了後も使用されています。