配属された直後は、経理の用語すらわからなかったという大石拓摩。
周囲の助けと自らの努力で、NEDOが扱う膨大な資金の家計簿「財務諸表」を読み解けるまでになった。
配属された直後は、経理の用語すらわからなかったという大石拓摩。
周囲の助けと自らの努力で、NEDOが扱う膨大な資金の家計簿「財務諸表」を読み解けるまでになった。
経理部
生命環境科学研究科 / 2020年度入構
2020年 環境部(現在のサーキュラーエコノミー部)に配属
2023年 経理部に異動
次々と新しい科学技術に触れられるNEDOで研究開発支援の仕事をしたいと入構。
休日はハンドドリップでいれたコーヒーでほっと一息。
私は、学部の卒業研究では無機材料であるセラミックスの物性測定を主とする研究、修士課程では隕石の内部構造研究という基礎研究に取り組みました。二つの異なる分野において自身とその周りの研究室運営を肌で感じ、自分は限られた領域を究めるよりも幅広い分野の科学技術に触れたいタイプだということを感じました。同時に、「優れた研究成果を出すためには、資金もそれを管理するマネジメントも重要だ」と考えるようになり、NEDOを志望するようになりました。実際、NEDOは、その時々に必要とされる最先端の研究に取り組んでおり、さらに、技術開発のマネジメントをする機関であるという点で、私には最適の選択肢でした。
入構後すぐに環境部総括グループで機構内外との調整を行う部の窓口的業務を、3年目からはフロン対策グループで環境にやさしく高効率なエアコン用冷媒の開発プロジェクトを担当しました。プロジェクトの予算内で効果的に予算を執行することを考えるうちに、改めて資金管理のノウハウやNEDO全体のお金の流れを理解したいと感じました。また、これまで触れてこなかった「経理」という新しい世界に飛び込むことにワクワクし、最初のジョブローテーション時に経理部を希望しました。
初めは、借方・貸方、総勘定元帳、B/S・P/Lなど経理部で飛び交う基礎的な単語さえわからないという状況でしたが、NEDOの教えたがり文化に助けられました。わからないことは、すぐに周りの先輩に質問し、自分でも簿記の教科書を使って勉強をしながら、楽しく仕事を覚えていきました。
経理部では、NEDO全体の資金の流れを管理・記録し、次年度の予算を立てています。経理の仕事は地道な作業の集積です。日頃は、各部署から提出される会計伝票を見て経費が適正に使われているか、伝票の情報は正確かを審査しています。年度末には帳簿を締め、1年分の経費を使途別に集計して財務諸表を作成します。数字に囲まれ、悩まされる日々ですが、1年間の積み重ねが最終的に財務諸表となって形に表れてくるのはとてもやりがいを感じます。一方、私が携わった財務諸表は機構内の経営層だけでなく、NEDO全体の運営状況を示す資料として主務省庁及び国民など、ステークホルダーへ提供されます。さらに、その一部が国の予算の参考資料として国会に提出されることを考えると、その責任の重さを感じます。
意外に感じられるかもしれませんが、経理部の業務を通じて、自身のマネジメントスキルが向上したと感じています。例えば、次年度の予算書を作成するのも経理部の仕事ですが、予算作業では締切を厳守しなければなりません。ですから、繁忙期を見越してスケジュールを管理する能力が問われます。そのためには業務を効率化するとともに、可能な限り人為的なミスが起こらないように工夫する必要があります。表計算ソフトを使う際に、なるべく手入力などの操作を介在させずに自動化するといったことや、外部のリソースを活用することなどに取り組んでいます。こういった効率化のためのスキルはプロジェクトを推進するうえでも重要で、自身の成長にとって思わぬ収穫となりました。
1年の業務を一通り経験した今、NEDO全体の資金の流れが見えるようになりました。また、財務状況・経営成績をまとめた財務諸表も読み解けるようになっています。さらに、経理の実務経験を通じて、着実に業務をこなすスキルや効率化のための様々な手法を学ぶことができました。
こうして、未経験から新しいことにチャレンジすることの醍醐味を実感することができたので、今後はAI・ロボットなどの先進的な産業技術分野のプロジェクトを推進する部署でプロジェクトマネージャーをしてみたいです。経理部で培った経験を生かし、プロジェクトに技術面だけでなく財務面からもアプローチすることのできるプロジェクトマネージャーを目指したいと考えています。例えば、NEDO内外との折衝も数値を根拠に説得力を持って進められるのではないかと思います。また、技術戦略を立案するための情報を収集し分析する技術インテリジェンスの仕事にも興味があります。様々なキャリアの選択肢があり、挑戦することを応援してくれるNEDOで、これからも新しい世界に飛び込んでいきたいと考えています。
※所属部署、仕事内容は取材当時のものです。