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次世代低GWP冷媒の実用化に向けた高効率冷凍空調技術の開発

事業・プロジェクト概要

事業期間:2023年度~2027年度、予算額:5億円(2023年度)

冷凍空調機器で使用される冷媒は、オゾン層を破壊する特定フロン※1(CFC※2、HCFC※3)から代替フロン※4であるHFC※5に転換されてきましたが、代替フロンには高い温室効果を有するという問題があります。代替フロンへの転換の進展による使用量増大に伴ってこれらの排出量が増加していることを踏まえ、現在、国際的な代替フロン規制強化の動きが進んでいます。特に、2016年のモントリオール議定書の改正※6においては代替フロンの生産・消費量の段階的削減義務が新たに定められ、先進国は2036年までに基準年の85%削減することが求められています。また、2050年カーボンニュートラルに向けてはその排出量を実質ゼロにすることが求められています。温室効果ガスの中で排出量が増加傾向にある代替フロンの排出抑制対策は喫緊の課題であり、とりわけ代替フロンに代わる次世代冷媒および機器の技術開発と社会実装の加速が急務となっています。

一方、地球温暖化への影響が極めて少ない次世代冷媒候補の多くは、従来のHFC冷媒と同等以上の機器性能とするための技術的ハードルが高く、さらに安全性においても課題(燃焼性、化学的不安定性等)があるため、世界的に次世代冷媒適用冷凍空調機器は実用化に至っていません。これは、次世代冷媒の基本特性評価及び次世代冷媒使用時の安全性評価・リスク評価の標準的な評価手法が確立していないことが大きな原因の一つです。さらに、冷凍空調機器分野において、一部では次世代冷媒が適用されているものの技術的課題があることで広く普及に至っていない領域があることも課題と言えます。

本事業では、代替フロンに代わる次世代冷媒が決まっていない家庭用空調機等を対象に、新たな混合冷媒のスクリーニングから適用技術の開発・評価までを一気通貫で実施し、適用機器設計指針の基盤技術を確立します。また、家庭用・業務用空調機、業務用冷凍冷蔵機器を対象とした次世代低GWP冷媒適用機器の普及に必要な要素機器・周辺機器の技術開発により、民間企業による次世代低GWP冷媒及び、その適用機器の早期開発・上市を促します。

  • ※1 フロン:冷媒の商標。転じてフッ化物である冷媒・工業用ガスの総称に用いられる。
  • ※2 CFC:クロロフルオロカーボンの略称。低分子有機物の水素を全てフッ素・塩素で置換した人工化合物。フロンの一種。
  • ※3 HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボンの略称。低分子有機物の水素を一部フッ素・塩素で置換した人工化合物。フロンの一種。
  • ※4 代替フロン:オゾン層破壊源となる塩素を含まないHFC(ハイドロフルオロカーボン)等の化合物。
  • ※5 HFC:ハイドロフルオロカーボンの略称。オゾン層破壊効果はないものの強力な温室効果ガスであり、パリ協定において排出削減の対象となっている。
  • ※6 2016年のモントリオール議定書の改正:2016年10月ルワンダの首都キガリで開催されたモントリオール議定書第28回締約国会合(MOP28)において採択されたもの。「キガリ改正」と呼ばれる。
  • 後述の研究開発内容をまとめた概要図
    実施概要

研究開発内容

研究開発項目〔1〕家庭用空調等に適した低GWP混合冷媒の開発及び評価

これまでの関連研究開発事業において得た混合冷媒に関する知見を踏まえ、家庭用空調機を対象とした実装できるHFO混合冷媒候補を早期に絞り込みます。また、実装するHFO混合冷媒に対応する、熱交換器、圧縮機などの要素機器の開発のための基盤技術の開発や、冷媒の安全性、対応機器の環境影響の評価を行うモデルや評価手法などの開発を行います。

最適な混合冷媒の絞り込み・評価
最適な混合冷媒の絞り込み・評価項目である熱物性、性能、入手性、GWP、安全性、コストを表した図

研究開発項目〔2〕低GWP冷媒の対応機器(家庭用/業務用エアコン、冷蔵・冷凍ショーケース等)の開発

これまでの関連研究開発事業の成果や、本事業における家庭用空調機を対象とした冷媒・空調要素技術の知見を展開し、次世代低GWP冷媒に対応しかつ現状市販されているフロン品と同等以上の性能を実現する機器及び周辺機器の技術開発を行います。

要素機器・周辺機器開発
エアコン、冷凍ショーケースの画像

基本情報

技術・事業分野 フロン対策
プロジェクトコード P23001
担当部署 環境部 (TEL:044-520-5248)

詳細資料

最終更新日:2024年4月11日

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