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バイオものづくり分野の人材育成プログラムを順次開講
―理論から実践までを学び、バイオものづくり人材の育成を目指す―

2022年7月1日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」の一環として、神戸大学、大阪大学、大阪工業大学、京都大学、(株)ちとせ研究所、Green Earth Institute(株)でのバイオ生産推進拠点(バイオファウンドリ拠点)の整備を進めています。

これと並行して、バイオものづくりの社会実装を拡大・促進するため、各拠点でバイオものづくりを担う人材育成を目的とした「人材育成プログラム(NEDO特別講座)」を開講しました。

本講座の受講生は、微生物の持つ物質生産能力を高度に制御した細胞「スマートセル」について、その構築方法から培養装置の使い方、バイオプロセスの実用化方法まで、バイオものづくりに必要な各種技術などを体系的に習得することが可能です。講義に加えて実習も行うことで、バイオものづくりに必要な理論から実践までを学ぶことができます。

NEDOは本取り組みを通じて、バイオものづくりの担い手を育成し、産業界に広く輩出することで、バイオエコノミー社会の実現を目指します。

図1 「人材育成プログラム(NEDO特別講座)」の位置付けの図
図1 「人材育成プログラム(NEDO特別講座)」の位置付け

1.概要

微生物育種や発酵技術による物質生産は、長らく日本の強みでしたが、これらの技術は現場担当者の経験に基づいた「匠(たくみ)の技」に支えられていました。

近年では、発酵法による製造拠点の海外進出や熟練担当者の高年齢化に伴う技術の継承が製造業の大きな課題となり、その解決のため、バイオとデジタルの融合を基盤とする環境整備や技術開発、人材育成が求められています。

こうした背景の下、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2022年4月から「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発※1」の一環でグローバルバイオコミュニティ※2として関西圏と関東圏に産学でのバイオ生産を推進する拠点(バイオファウンドリ※3拠点)を形成する事業を実施しています。

関西圏では、国立大学法人神戸大学がDBTL(設計・構築・評価・学習のサイクル)型スマートセル開発プラットフォームの構築を進めているほか、国立大学法人大阪大学、学校法人常翔学園大阪工業大学、国立大学法人京都大学、株式会社ちとせ研究所が生産プロセスと人工知能(AI)制御サンプル生産開発プラットフォームの構築に取り組んでいます。関東圏ではGreen Earth Institute株式会社(GEI)が千葉県内に生産実証プラットフォームの整備※4を進めています(図2)。

これと並行して、上記の各拠点でバイオものづくりの社会実装を拡大・促進するため、バイオものづくりを担う人材の育成を目的に、各拠点の特徴を生かした「人材育成プログラム(NEDO特別講座)」を2022年度から開講しました。受講生は講義や実習を通じて、物質生産能力を高度に制御した細胞「スマートセル」の構築方法や培養装置の使い方、バイオプロセスの実用化方法など、バイオものづくりの理論から実践までを学ぶことができます。

NEDOは本取り組みを通じて、バイオものづくりの担い手を産業界に広く輩出することで、バイオエコノミー※5社会の実現を目指します。

  • 図2 関西圏と関東圏のバイオファウンドリ拠点の図
    図2 関西圏と関東圏のバイオファウンドリ拠点

2.講座の開催概要

本講座は、2022年5月に大阪工業大学でさまざまな種類の培養装置の使い方や効率的な培養を実現するための適正な酸素供給能の評価方法など、微生物培養の基礎を学ぶ講座として始まりました。

2022年10月にはGEIで、商業生産により近いパイロットプラントでの培養装置の洗浄や滅菌技術など、実用化を目指したバイオプロセスに関する講座を開く予定です。今後も順次、下表の予定に沿い開講していきます。参加希望者は、各講座の詳細内容や申し込みについて、下表の各リンク先を参照してください。

表1 開講する「人材育成プログラム(NEDO特別講座)」一覧
プログラム 担当機関 開講予定時期 リンク
代謝経路設計~酵素開発~スマートセル構築~培養スケールアップまでの共通基盤・コア技術を融合したトータルシステムのOJD 神戸大学 随時(個別の共同研究として適宜実施) 別ウィンドウが開きます共同研究をお考えの方へ
培養基礎セミナー(座学・実技)
バイオリアクターの装置及び操作の基本設計、酸素供給能評価法
大阪工業大学 2022年
5、8、11月
別ウィンドウが開きます大阪工業大学工学部生命工学科生物プロセス工学研究室(長森研)
培養応用セミナー(座学・実技)
流加培養および蒸煮滅菌型培養槽(30L)の操作方法について
大阪工業大学・
大阪大学
2023年4月
(2023年度はNEDO PJ参加メンバーで試行)
培養工学に関する実践的知識の習得(科目等履修生制度等の活用を予定) 大阪大学 2023年4月 準備中
高度バイオものづくりに関する知見の習得(LCA/TEA他、目利き人材および実務人材の育成を視野にコンテンツを検討中) 大阪大学・
大阪工業大学
2024年4月
産業微生物学 京都大学 2023年度予定 準備中
循環型バイオ事業開発 京都大学・ちとせ 2023年度予定
バイオ生産に関するデータサイエンス教育 京都大学・ちとせ 2023年度予定
産業化支援バイオリソース探索のOJD(個別の共同研究として適時実施) 京都大学 2023年度予定
バイオプロセス実用化1-洗浄、滅菌技術 GEI 2022年10月頃 別ウィンドウが開きますバイオファウンドリ事業にかかる人材育成プログラムのご案内
バイオプロセス実用化2-アップストリーム(細胞分離まで)の最適化・スケールアップ GEI 2022年12月頃
バイオプロセス実用化3-技術移転、構想設計、基本設計開設 GEI 2023年1月頃
バイオプロセス実用化4-ダウンストリームの最適化・スケールアップ GEI 2023年1月頃
バイオプロセス実用化5-糖化プロセスの最適化・スケールアップ GEI 2023年2月頃
バイオプロセス実用化6-バイオプロセスへのDoE、多変量解析、流動解析(CFD)利用の実習 GEI 2023年5月頃
バイオプロセス実用化7-ストリーム工程のスケールアップデータ収集法の実習 GEI 2023年6月頃
バイオプロセス実用化8-洗浄、滅菌操作、検証に関する実習 GEI 2023年7月頃
バイオプロセス実用化9-前処理・糖化に関する実習 GEI 2023年9月頃
バイオプロセス実用化10-精製プロセスに関する実習 GEI 2024年
(精製設備設置後)

【注釈】

※1 カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発
研究開発項目2:生産プロセスのバイオファウンドリ基盤技術開発
事業概要:サイト内リンク カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発
事業期間:2021年度から2026年度までの最大6年間。
※2 グローバルバイオコミュニティ
バイオに関係した人材・投資を呼び込み、市場に製品・サービスを供給するコミュニティとして認定を受けたコミュニティをバイオコミュニティと言います。「グローバルバイオコミュニティ」とは、このうち、世界最先端の研究開発機関が中核となり、バイオ生産システムなどの開発機能を有する機関や企業などの連携により、シーズを円滑に事業化でき、世界からバイオイノベーションハブの一つとして認知されるコミュニティのことです。
※3 バイオファウンドリ
培養・運搬・受託製造などのバイオ生産システムを指します。
詳細は「別ウィンドウが開きます バイオ戦略 2019」を参照してください。
※4 千葉県内に生産実証プラットフォームの整備
(参考)NEDOリリース(2022年5月24日)サイト内リンク 千葉県で微生物発酵生産用の実証拠点を稼働開始
※5 バイオエコノミー
バイオテクノロジーや再生可能な生物資源などを利活用し、持続的で再生可能性のある循環型の経済社会を拡大させる概念です。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 材料・ナノテクノロジー部 担当:澤田、長谷川、林(智)

TEL:044-520-5220 E-mail:bioproduction[*]ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、橋本、鈴木、根本

TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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