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「経済安全保障重要技術育成プログラム」で航空機の開発製造プロセス高度化技術の開発・実証に着手
―DX技術活用で、民間航空機開発の革新的なプロセス構築を目指す―

2023年7月12日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは経済安全保障を強化・推進する観点から支援対象とすべき先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”)」(以下、本プログラム)の一環で実施する研究開発として、「航空機の設計・製造・認証等のデジタル技術を用いた開発製造プロセス高度化技術の開発・実証」(以下、本事業)に着手します。

本事業では、製造業へのモデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)、シミュレーション技術などのデジタルトランスフォーメーション(DX)技術を活用し、民間航空機開発の前提となる設計・認証・生産を統合した革新的なプロセスの構築に取り組みます。設計・認証・生産の各段階に関する情報を一元的に管理し、デジタル技術によって相互に連携させる革新的な手法を開発することにより、日本の航空機産業の国際競争力の向上を目指します。

1.経済安全保障重要技術育成プログラムについて

世界的に、科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いの中核となっている中、日本が技術的優位性を高め、不可欠性の確保につなげていくためには、研究基盤を強化することはもちろんのこと、市場経済のメカニズムのみに委ねるのではなく、国が強力に重要技術の研究開発を進め、育成していく必要があります。

そこで、経済安全保障を強化・推進するため、内閣府や経済産業省、その他の関係府省が連携し、先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進するため、本プログラム※1が創設されました。

本プログラムでは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に造成された基金※2により、国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想※3に基づき、科学技術の多義性を踏まえ、民生利用のみならず公的利用につながる研究開発とその成果の活用を推進します。

2.事業の概要

本プログラムが支援対象とする宇宙・航空領域において、取り組む課題の一つとして「デジタル技術を用いた航空機開発製造プロセス高度化技術」が挙げられています。

複雑化するシステムや製品の開発効率や安全・機能的性能を革新的に高めるため、国際的に製造業へのMBSE、シミュレーション技術などの活用が競争力の重要な要素となっています。特に、航空機開発は部品点数が300万点(自動車の約100倍)に及ぶなど極めて高い複雑性を有するとともに、高度な安全認証試験を要求されるため、開発における手戻りがスケジュールやコストを圧迫し、認証取得までの開発期間の長期化が課題となっています。

このような背景の下、NEDOは宇宙・航空領域の航空分野での先端的な優位技術の確保・維持を目的として本事業の公募を行い、1テーマを採択しました。設計・認証・生産・統合の4フェーズで構成される本事業の実施を通じて、MBSEなどのデジタル技術を活用した革新的な開発プロセスを構築し、日本の航空機産業の優位性を確保するとともに、脱炭素化を実現する次世代航空機に加え、空飛ぶクルマ、自動車、船舶、宇宙機といった他分野の開発のプロセス構築にも波及させることができる知見の獲得を目指します。

  • (1)設計フェーズ:航空機設計のDXに取り組みます。具体的には、MBSEとモデルベースディベロップメント(MBD)の連携技術を基にした参照モデル(リファレンスモデル)を構築し、国内の航空機産業界全体で共有します。
  • (2)認証フェーズ:航空機の認証業務を効率化する手法を開発し、国際的な信頼性保証フレームワークとの連携を図り、実用性の高いガイドラインを作成します。
  • (3)生産フェーズ:航空機の開発/生産全体を対象としたデジタル先行製品品質計画(APQP: Advanced Product Quality Planning)、エンジニアリングチェーンを対象としたMBD/MBI(Model-Based Definition/Model-Based Instructions)連携、サプライチェーンを対象としたスマートサプライチェーンの三つの研究開発に取り組みます。
  • (4)統合フェーズ:上記(3)の実証試験を通じて複数組織間でのデータ連携のあり方を提案します。また、先進デジタルスレッド※4技術を確立することにより、設計・認証・生産フェーズの各プロセスをシームレスにつなぎ統合するための手法を開発し、国際共同開発において適用可能なプラットフォームを構築します。

3.実施内容・採択テーマ

【宇宙・航空領域】

  • 事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム/航空機の設計・製造・認証等のデジタル技術を用いた開発製造プロセス高度化技術の開発・実証
  • 算:150億円
  • 間:2023年度~2027年度(予定)

【注釈】

※1 経済安全保障重要技術育成プログラム
※2 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に造成された基金
本基金は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号)第63条第1項における「特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用を目的とするもの」として指定基金として指定されています。
※3 国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想
「研究開発ビジョン」とは、経済安全保障推進会議および統合イノベーション戦略推進会議で取りまとめられる、支援対象とする重要技術や重要技術となり得る要素技術などを示したものです。「研究開発構想」とは、研究開発ビジョンをもとに内閣府および経済産業省が具体的な研究開発の構想を示すために策定するものです。最新の資料は、内閣府ホームページ(別ウィンドウで開きます経済安全保障重要技術育成プログラム)を参照ください。
※4 デジタルスレッド
データフローを接続し、製品ライフサイクル全体にわたる製品データの全体像を作り出すフレームワークのことです。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・AI部 担当:小川、山崎、原、山名
E-mail:kprj_dx[*]nedo.go.jp

(「経済安全保障重要技術育成プログラム」全体についての問い合わせ先)

NEDO 経済安全保障事業統括室 担当:関口、橋本、鈴木(敦)
E-mail:economic-security[*]ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本(信)、瀧川、黒川、根本
TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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